不動産トラブル

不動産にまつわる浸水、水害等の事故

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近年の災害等による住宅等への損害は時に人の命を奪うまでの規模に発展するものもあり、不動産購入の際には決して侮ることができないものといえるでしょう。従って、売主、仲介業者にはどの程度の説明義務があり、一方で購入側としては説明されない部分はどこなのかについて把握しておく必要があり、場合によっては、買主自ら仲介業者に説明を求めるなどの対応をするべきでしょう。

過去の浸水履歴について説明義務があるか

➀裁判では、購入後8年前に地下駐車場で浸水事故があったことを知ったという事案で「土地建物の売買契約において売主は、売買契約にあたり、買主に不測の損害を与えぬよう、重要な事項の説明義務を負うところ、居住用のものであれば頻繁に浸水被害を受ける土地であれば、これにより利用者の日常生活に支障が生じる可能性があることから売主がこれを知り又は知りうべき時には買主に対してこの点を告知・説明すべき義務がある」と判断した。

そして、本件では、買主が浸水について仲介業者に対して懸念を示していたところ、仲介業者は市役所に問い合わせを行い、当該地区において浸水履歴があるとの回答を得ていたのであり、説明義務違反があった。また、売主においてはこれを知らなかったものの、市の情報開示制度を利用して浸水履歴を容易に入手することができた立場にあったため調査義務違反があるとした。

②土地の所在する地区では、過去に台風による降雨で住宅が床下浸水し、道路が冠水するという事態が発生したことから町には災害対策本部が設置され、対策が施されていたのであるが、冠水に関する説明がなく、土地の購入後翌年、翌々年に土地の駐車場部分が冠水したという事案で、裁判では「冠水被害は、当該土地だけでなく付近一帯に生じることが多いがそのような事態が生じていれば大雨のときに冠水しやすいという土地の性状は、周囲の土地の宅地化の程度や排水事業の進展具合など、当該土地以外の要因に左右され、また、付近一帯の土地の価格評価に反映されるのが通常であり、一定の時期に冠水被害が生じたことのみをもって説明が義務があったと断定することはできない」とした。

上記①との違いは、②の場合土地一帯の性状についての問題であり物件固有の問題ではなく、このような事柄は土地の用途地域などとは異なり、簡単に調べられるものでもなく、また土地の冠水傾向について説明義務があることを基礎づけるような即断の事情もなかったことが挙げられる。

土砂崩れ歴について説明義務はあるか

本件建物から5メートルしか離れていない本件がけ地において過去に二度も土砂崩れが発生しており、その際は県から勧告を受け、大規模な法面保護工事が施工されていたという事案において、本件建物を購入後すぐに大雨により土砂崩れが起きて土砂が住居内に押し寄せ、一家が生き埋めになった。裁判は「過去の土砂崩れ事故等からがけ崩れが発生した場合には本件建物に居住する人の生命等につき損害を被ることにつき予見することは十分可能であった」として説明義務違反を認めました。

 

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